通信販売業P社 開発企画部
超高齢社会におけるロコモの予防は社会全体の大きな課題!
健康食品からロコモ対策の課題にアプローチできる原料とは?
背景
昨今、加齢による骨や関節の病、筋力の低下によって身体機能が低下するロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)の進行が、超高齢社会の日本において、将来的な介護リスクを高める一因となっている。こうした中、通販会社P社では、ロコモ対策に配慮した健康食品の企画・開発を急いでいたが、ここでいくつかの課題に直面していた。
課題
魚由来の「アンセリン」を採用したものの、独特のにおいが取れず…
P社ではロコモ対策のための成分として、人間の筋肉にも含まれる成分である「イミダゾールジペプチド」に着目しました。
担当者のS氏は、次のように振り返ります。
「イミダゾールジペプチドについてさまざまな市場調査を行い、比較したところ『アンセリン』を使用した商品は少ないことがわかりました。また、畜肉を食べないなど環境に配慮した考えをお持ちの方にも愛用いただける商品にすることで、他社との差別化を図れると考え、魚由来の『アンセリン』を原料として採用することにしました」
さらに、開発企画部では先行して販売されていた他社のサプリメントの調査を行い、より気軽にアンセリンを摂取できるドリンクタイプの商品を開発する方針が固まりました。
メンバーはまず、アンセリンの原料を入手し、ドリンクの試作を開始することにしました。しかし、製品化するうえでマイナスとなるいくつかの課題に突き当たってしまいます。
「アンセリンを使用した試作品は、どんなに味の調整をしても魚由来の独特なにおいが残ってしまいました。味やにおいは、健康食品の摂取を習慣化してもらえるかどうかを大きく左右する要因のため、できるだけなくしたいと考えました」(S氏)
また容器の底に沈殿物が溜まってしまい、見た目が悪いのも大きな課題の一つでした。さらにこの試作品について加速試験を行ったところ、魚の酸化臭がしてきて褐変も起こってしまいました。これでは、ドリンクの品質が悪化したように見えてしまいます。
開発メンバーはこれらの課題を解消すべく、ドリンクの原料や香料・甘味料の配合を変えるなどさまざまな調整を行いましたが、どうしてもにおいや色味を改善することができず、開発は完全に行き詰まってしまいました。
課題のポイント
ロコモ対策成分としてアンセリンを採用したいが独特なにおいが残ってしまった
沈殿物が容器の底に溜まってしまい、見た目が悪かった
加速試験後には魚の酸化臭が発生し、褐変が起こってしまった